私は元来、ラーメンよりもうどんやそばが好きでしたが、仕事の関係で30数年前に徳島に来た時、うどんのうまさに感動しました。本場香川県ほどではないにせよ、徳島にも讃岐うどんのおいしいお店が何軒かあります。

当時よく食べに行っていたうどん店には店内に打ち台があり、主人がうどんを打つ場面に出くわすこともありました。なんともかっこいいその姿が私の好奇心を徐々に刺激し、うどん打ちを始めたのは15年ほど前だったかと思います。

太く短い麺棒や麺切り包丁をそろえ、本を見ながら打ってみると、見た目に難はあってもうどんらしきものができ、硬い・柔らかいは別にしてそれなりにおいしく食べることができました。あるうどん屋さんにそのことを話すと、なんとなくいやそうな顔をしながら「そば打ちの方が奥が深いからそっちをやったら」と言われたものです。

「そば打ちの方が奥が深いらしい」というのは聞いていましたが、「そば打ちは難しい」とも聞いていたのでやる気はなかったのですが、うどん屋さんのその一言で私のそば打ちスイッチがパチン、と入りました。そして大阪の東急ハンズで道具を買いそろえ、私のそば打ちがスタートしたのでした。

(②に続く)