短期であってもお店で修行(体験)させてもらおうと思ったのは、仕事の流れ、文字ではわからない仕事の勘どころ、厨房をはじめお店の使い勝手、全体としての空気感、などを体感しておきたいと思ったからでした。そして昨年3月、松山市の無着庵さんにお世話になりました。

掃除やそば打ち・仕込みが終わり営業が始まると、ご主人と奥さん、土日は2名のパートさん含めて、”あうんの呼吸”でテキパキと動かれる中、当初は右往左往するばかりでした。しかし何度も教えていただきながら体を動かしていくことで、徐々に「体で覚えてきたかな」と思うことが増えてきました。また、仕込みや中休みの時間も含めて、ほんとうに何から何まで洗いざらい教えていただき、開業に向けてのアドバイスもいただきました。

一番印象に残っているのは「雑にならない」「手を抜かない」ことの大切さです。もしお客さまをお待たせしてしまったら、大切なのは慌てることではなく、そのお客さまに最高のおそばを提供すること。あせってつい雑になりがちな自分を戒めていきたいと思います。

そば打ち教室も卒業し、手打ちそば屋をめざしてスタートを切ってはいましたが、そのイメージは文字などで得た情報を頭で組み立てたものに過ぎませんでした。しかし無着庵さんでの1ヶ月を体験することで実感を伴ったものとなりました。「そば屋をやる」という腹がほんとうに据わり、手打ちそば屋をめざすほんとうのスタートラインに立てた、そんな気持ちで松山を後にしました。

椿神社

無着庵さん近くの椿神社に終了の報告をし、徳島に戻りました。