「徳島人」1月号の「売切御免の品」という特集で<遊山>の十割せいろを紹介していただいています。

十割のそばを「売切れ御免」扱いしている訳ではないんですが、2種類のそばを用意していると、十割に注文が集中した場合に極端に早くなくなることがあります。そんな時はお客さんから「十割を打つ量が少ないのでは?」と怒られますが、逆に二八に注文が集中して十割ばかりが残ってしまうこともままあり、難しいところです。AIでも進化して、注文数を正確に予測できるようにならないでしょうか?(>_<)

この十割、オープン直前までメニューに加えるつもりはまったくありませんでした。他店で十割を食べても、どうもゴツゴツした感じで好きになれず、「そばはやはり二八だ」と思っていたからです。

それがオープン直前に石臼が届き、粉を挽いてそばを打つとなんともおいしく、モノは試しと十割でも打ってみました。2割のつなぎがないだけで味や香りが引き立ち、コシとしなやかさが両立した食感を感じました。

そんなこんなで十割を打つことにしたところ、十割せいろはオープン以来注文数No.1となっています。

でもこの十割、とてもデリケートなんです。自分で「これは絶品!」と思う日もあれば、十割特有のゴツゴツ感を感じる日もありました。石臼での挽き加減やふるいの荒さ、加水率、こね加減やのし加減、ゆで加減やシメ具合など、ああでもない、こうでもないとずっと試行錯誤し続けています。

「うん、この十割を打ち続ければいい」と自信が沸いては、数日後には「いや、やっぱり違うんちゃうか?」とまた試行錯誤し始める、ということを何回も繰り返しています。味や香りはその時期の原料に左右されるし、昨日とまったく同じように打てたはずなのに微妙に感じが違うこともあります。

そんな波はありながらも、十割せいろがより美味しくなってきている手応えは感じています。まぁ、何を美味しいと感じるかは個人差がありますので、あくまで私の感じ方です。

雑誌にも取り上げてもらったので、しばらくはロス覚悟でこれまでよりも多めに十割を打ってお待ちしています。以前食べて好みに合わないと思われた方も、よかったらもう一度試してみてください。きっと違う印象を持っていただけると思っているのですが (^^)