昨年のお盆を過ぎたある夜、大阪の実家に住んでいる弟から、母が脳出血で倒れこれから手術をするとの電話がありました。すぐに支度をして大阪の病院に車を走らせました。

術後の姿は痛々しく、医師の話では年齢のこともあり再び家で暮らせるようになるまでに回復する可能性は少ないとのこと。症状も一進一退が続きました。

しかし、病院のスタッフのみなさんの手厚い看護やリハビリにより、1ヶ月後にはリハビリ専門病院に転院できるまでに回復しました。そして年末にはそちらも退院し、若干の後遺症はあるものの、デイサービスを利用しながら大阪の実家で弟と一緒に暮らしています。

そば屋をやるために早期退職していたことや、見つけた物件が10月まで手続きもできない場所だったことも幸いし、私は2ヶ月近く大阪の実家に寝泊まりしながら病院で付き添うことができました。これまで何一つ親孝行らしいことをしたことがなかった私にとって初めての親孝行となりました。

うわごとを言いながら苦しそうにベッドに横たわっていた状態から、ベッドの上で座れるようになり、自分の足で立てるようになり、歩けるようになる度に、人間の生命力がどれほど強いのかということに驚かされました。

また、いくつかの障害やそのリハビリを通じて、私たちの何気ない動作が非常に複雑で精巧なしくみによって成り立っていることに気づき、感動すら覚えました。自分もそんな力によって生かされており、発揮できる自分でも気づいていない力があるということを忘れないようにしたいと思っています。