この頃になって、別の不動産業者からいくつか居抜き物件が出てきていました。

ショッピングセンター横で駐車台数も申し分ない20坪ほどのラーメン店の居抜き、隣に貸し駐車場もある20坪ほどの中華料理店の居抜き、近所に貸し駐車場がある15坪ほどの和食店の居抜きという具合に、駐車場の確保が可能な物件でした。

初期投資は断然居抜きが低く抑えられるわけなので、妻と物件を見て歩き、最も魅力を感じたラーメン店跡は、この間ずっとおつき合いいただいている設計士さんにも一緒に見てもらいました。最終的に断念した理由は、ラーメン店跡・中華料理店跡は駐車場も含めた賃料の高さでした。

シミュレーションしてみると、交渉で多少下がったとしてもその家賃では損益分岐点は相当高く、そこまでの売り上げ確保は難しいと考えました。ラーメン店跡は通行量の多い道路に面しており、手広くやって当たれば十分採算がとれるのでしょうが、そんな腕もなければ手広くやりたいわけでもありません。また、できれば70才まではそば屋を続けたいと考えているので、その年まで家賃を稼ぐためにがんばり続けることを想像すると、思い描いていた第二の人生の姿とは相当異なってしまいます。

一方、和食屋跡の物件は駐車場を含めても賃料は当初の想定レベルに納まることに加え、内装がほとんど手直ししなくていいほどきれいで、初期投資は相当抑えられそうでした。しかしこちらは住宅地の奥まったところにあり、アクセス道も狭く、集客が難しそうな場所でした。借りられる駐車場も少し離れています。いくら初期投資が少ないとはいえ、この場所で月々の損益をプラスにするだけの集客は、よほどのことがない限り難しそうです。また、窓もない物件で、妻も息が詰まりそうという意見でした。

ラーメン店跡、中華料理店跡を紹介いただいた不動産業者さんもたいへんよくしてくれたのですが、最終的にはこれらの物件はお断りすることにしました。(続く)