<遊山>の開業にあたり、たいへんお世話になった無着庵さんが、この4月に故郷の広島市に移転されます。現在の松山市のお店は今月21日(火)限りとお聞きし、もう一度お店とおそばの味を深く記憶に刻んでおこうと、松山まで出かけてきました。

そば屋のおやじになるべく、東京のそば打ち教室のプロコース受講を決めたものの、そば打ちだけでそば屋が開けるはずもなく、無着庵さんにお願いしてそば屋の仕事を一から教えていただいたのが2年前です。1ヶ月という短い期間でしたが、とても密度の濃い日々を送らせていただきました。<遊山>のオープン直前にも3日間ながら、妻とふたりで再びお世話になり、最後の仕上げをすることができました。

お店に入ると、あの頃の記憶がありありとよみがえってきます。素人の私たちがどうにかこうにか<遊山>を営業できているのは、無着庵さんでの1ヶ月と3日間のおかげ、と言っても過言ではありません。

広島のお店は工事の設計・見積もりの最終段階ということでした。松山で毎日お店を営業しながら広島のお店の準備をすすめる、というのはたいへんなことです。「まだ工事も始まっていないのに、松山のお店を閉店して収入がなくなってしまうのは不安ですよ」とおっしゃっていました。私も準備期間の1年半、何が不安だったかといって、「自分にそば屋ができるのか?」「店が成り立つのか?」ということ以前に、「今現在、まともな収入がない」ということが最大の不安でした。

約2ヶ月で工事と開店諸準備、加えてご家族の引っ越しもされるわけなので、数ヶ月前の私たち以上の忙しさです。私たちも嵐のようなめまぐるしい日々を体験したわけなのですが、今も続く毎日のめまぐるしさに追われて、準備期間のめまぐるしさの記憶はほとんど飛んでしまっている、というのが正直なところです (笑)

最後に私は「せいろ」と「かけそば」、という基本のおそばをいただきました。

このおそばに比べると、私のそばはまだまだ子供のレベル。じっくり腰を据えてレベルアップを図り、無着庵さんのご恩に応えていきたいと思います。