ゴールデンウイークで休んでいた間に読んだそばの本の紹介です。主にSNSで紹介されていたものを読んでみました。

そば学 井上直人著

そばの本は、書かれていることの科学的な根拠がよくわからないことがけっこう多いんですよね。

その点、農学博士が書かれたこの本は「学問としての体系が未完だったために『雑学』と受け取られることも多かった「そば学」を、食品科学を柱に整理すること」が目的と書かれていて、そういう点でとても興味深く読みました。

特にそばの主要な成分であるタンパク質やデンプンの特性がソバの成長、栽培、栄養、加工、風味、食感などに及ぼす影響が面白かったです。

たとえば、そばの実の成長ではまず殻や甘皮、子葉ができ、その後で子葉が成長するためのエネルギー源としての胚乳(デンプン)を蓄えていくので、登熟不良の実の方がそば粉にしたときにタンパク質の比率が高いので風味が優れている、というようなことなど、目から鱗のことがけっこうありました。

そばを食べるのが好き、という方には退屈な内容かも知れませんが、そば打ちが趣味、という方は面白く読めるのではないかと思います。

さぬきうどんの小麦粉の話 木下敬三著

香川県の製粉会社の社長さんが、小麦の知識や製粉、旨いうどん作りという視点から小麦にアプローチしています。

そば粉とうどん粉は、タンパク質ではグルテンの有る無しで大きく性質が異なりますが、デンプンの性質は共通した点も多いはず。茹でとデンプンの糊化の関係、加水や練りのことなど、うどん作りの解説を読みながら、そばではどうなのだろうと興味が広がって来ます。

そば通 村瀬忠太郎著

名人と言われたそば屋の主人が昭和5年に書いたという本。そばの産地やそば粉、そば打ちの技術、食べ方や栄養、地方のそば、その他そばにまつわる内容が幅広く書かれていてビックリしました。他の本で読んだような内容も少なからずあったので、この本を参考に書かれたのかもしれません。

おいしい穀物の科学 井上直人著

「そば学」の井上先生が、米、トウモロコシ、ムギ、ソバなど穀物全般について書いています。

麺の科学 山田昌治著

小麦、そば粉、米粉、その他、麺を作る穀物についてその特性、麺料理、栄養、麺をおいしくする科学などが書かれた本です。

ソバを知り、ソバを生かす 氏原輝男著

農学博士の著者がソバと歩んできたエピソード(新品種作り、ヒマラヤでのソバ研究、ソバでの地域興しなど)を綴った本です。

そば学大全 俣野敏子著

植物としてのソバの性質や栄養、日本と世界のそば食の歴史などが書かれた本です。

 

そば職人やそば評論家の方が書いた本とはまた違う視点で面白かったです。なお、私が読んで面白かった順に並べています(^^)