そばと同じぐらいに大事なのがつゆ。もりで食べるにせよ、かけで食べるにせよ、いい加減なつゆではどんなに旨いそばも台無し。かといって、そばに代わって主役に躍り出るようなつゆも困ります。

つゆには大きく辛汁(冷たいそば用)と甘汁(温かいそば用)の2種類があり、どちらも出汁と返しをあわせてつくります。返しは醤油、みりん、砂糖などをあわせて少し寝かせて使います。

すっきりとした旨みがあり、かつそばの邪魔をしない辛汁、ホッとするような旨みの甘汁をめざして試行錯誤してきましたが、ようやく納得できるものができてきました。

返しは濃口醤油(ヒゲタそば膳)、三州三河みりん、砂糖を火を加えてあわせ、それにうすくち醤油を加える半生返しです。しっかりとした旨みとほどよいすっきり感があります。ちなみに、醤油に火を加えるのを本返し、加えないのを生返し、一部の醤油のみ火を加えるのを半生返しといいます。

出汁は、辛汁は鰹の本枯節、甘汁は真昆布、鯖節、宗田節でとったものが半生返しによく合います。開業までの長い準備期間のおかげで、使う材料とその組み合わせや配合、火の加え具合や寝かせ具合など、いろいろと試すことができました。

もっとも、凝り性でありながら飽きっぽい性格のため、オープン時にはまったく別物になっているかもしれませんが...