先週の定休日、福島県まで足を伸ばしてきました。NHKのプロフェッショナルで昨年に放送された白河の手打ちラーメン店にぜひ行ってみたいと思ったからです。あわせて、いつか行きたいと思っていた会津の桐屋さんにも伺うことにしました。

白河のラーメン店、とら食堂さんは毎日早朝から行列ができ、1日300食を提供しながら麺はすべて手打ち。スープも早くから化学調味料をやめ、出汁を贅沢にとって「味噌汁のように毎日食べられるラーメン」をめざしているとか。

父の跡を継いだ後、客から目の前で「まずくなった」と言われたご主人がラーメンに打ち込んできた思いや、ご主人が打つ麺との差に悩む娘婿の方がそこに近づいていく姿が描かれていて、一杯のラーメンから何かを感じ取れれば、と思って福島に向かいました。

とら食堂さんが月曜定休のため、まず会津に行き、翌日白河に戻るプランです。

会津での昼食は喜多方ラーメン。お隣の喜多方市が本場ですが、時間がないので会津市内にあるお店でいただきました。モチモチした多加水の縮れ麺は私好み。ラーメンは麺よりスープが話題の中心になっているように感じますが、私は麺がおいしくないと食べた気がしないので、ふだんはラーメンよりそば・うどん派です。

盛岡藩を治めた大名と姓が同じという事もあって、子どもの頃から東北に親近感があります。賊軍の汚名を着せられた会津藩には特に思い入れもあり、会津若松城は今回で3回目の訪問です。

天守から眺める磐梯山。雄々しく美しいですね。

飯盛山の白虎隊隊士の墓と隊士達が自刃した場所。どんな思いで出陣し、自刃したのでしょうか。

その飯盛山のすぐ近くに、そば道具でお世話になっている中村豊蔵商店さんがあります。オーダーメードで作ってもらったのし台はじめ、どの道具も使い勝手がよく、価格も手ごろなので、そば打ちをする方にはおすすめですよ。

閉店時間間際におじゃましたにもかかわらず快くお迎えいただき、いろいろお話を聞かせていただき、道具を見せていただきました。

桐屋さんには夜に伺いました。城下町、会津に溶け込んだ店構えです。

そば三種盛りのそば三昧をいただきました。一番粉で打った白い権現そば、会津産そば粉十割で打った頑固そば、新品種「会津のかおり」で打った十割そばの三種。一番粉の権現そばに至るまでどれも見事な香りでした。

あまりに美味しかったので、夢見そばと名付けられた水そばも注文しました。つゆも薬味もなく、水だけで食べるおそば。美味しかったです。今の<遊山>のそばではとてもこんな風に出せないです。原料、製粉、そば打ち、茹で、すべてが揃っているのでしょう。おおいに刺激をいただきました。

会津料理も出されていて、これは「こづゆ」という野菜の汁物。出汁がよく効き、具だくさんで美味しかったです。

さて、宿に帰って明日の白河行きを確認していると、ふと見たとら食堂さんのツイッターに「本日は定休日ですが、明日もお休みをいただきますので..」との投稿が!ガーン!

気を落ち着けて情報収集していると、白河には他にも手打ちラーメン店がいくつかあるようです。もともととら食堂さんでの待ち時間として2時間を空けていましたので、その浮いた時間で郡山のそば屋さんに伺った後、白河に行くことにしました。

郡山は評判のそば屋さんがいくつもあるようで、この日伺ったのはわき水さん。ご自宅の1階を店舗にしておられます。

こちらもすべて会津周辺の玄そばを使用されているようで、香り豊かなおそばでした。大根の絞り汁とつゆをあわせていただきました。

ふわふわのおいしいそばがきです。

席にあった新聞の切り抜きを見ると、ご主人は学校の先生を退職後にそば屋を始め、70才までそば屋をする予定だとか。「70才までがんばる」という目標は私と同じですが、新聞の日付は十数年前。計算するとすでに77才になられているはずです。

帰り際、ご主人に伺うと、お客さんがやめさせてくれないんだとか。そりゃそうでしょう、こんなおいしいおそばが食べれなくなるんですから。

原料が大事ですよ、と力説するご主人にお礼を言い、私はいつまでそば屋をやるだろう?などと考えながらお店を後にしました。

最後になった最初の目的地、白河到着。手打ちラーメンあずまさんに伺いましたが、そこは手打ちラーメン店が3軒並んでおり、その道中も手打ちラーメン店だらけ。聞けば白河には100軒以上の手打ちラーメン店がしのぎを削っているとか。40名以上はゆうに入れるお店は13時過ぎなのに行列ができていました。

私が頼んだチャーシュー麺。スープは出汁がしっかり効いています。これでもか!というふうに調味料や脂分の濃いスープとは正反対、出汁の旨みが体にしみてくるスープで、私がめざすかけそばのつゆの姿です。とら食堂さんとの味の違いはわかりませんが、「味噌汁のように毎日食べられる」と納得しました。

これが手打ち麺。太めで縮れがあり、しっかりした弾力とコシがあります。
量も大盛りが来たのかと間違うようなボリューム、価格も手頃です。白河ラーメン、恐るべしです。

ラーメン職人達が腕を磨き合ってこの地のラーメン文化を高めているだとよくわかりました。この町でもおおいに刺激をいただきました。私ももっともっと腕を磨いて、徳島のそば文化を高めていきたいですね。そして、また日を改めてとら食堂さんには行ってみたいです。